コロニアル屋根工事の流れ|塗装・カバー工法・葺き替えの全工程を初心者向けに解説
コロニアル屋根の工事には塗装・カバー工法・葺き替えの3種類があり、屋根の状態と築年数によって最適な方法が異なります。塗装工事の工期は約10〜14日、カバー工法は約7〜10日、葺き替えは約10〜14日が目安です。本記事では各工事の流れを工程ごとにわかりやすく解説し、工期・費用相場・業者選びのポイントまで網羅しています。
1. コロニアル屋根とは|基礎知識
コロニアル屋根とは、ケイミュー株式会社(旧クボタ松下電工外装)が製造する化粧スレート屋根材の代表的な商品名です。セメントを主成分とし、繊維材で補強した薄型の屋根材で、軽量かつ意匠性が高いことから日本の戸建住宅で広く採用されています。
一般的な厚さは約5mm、1枚あたりの重さは約3kg程度で、瓦屋根と比べて建物への重量負担が少ないことが特徴です。コロニアルは「カラーベスト」「スレート屋根」と呼ばれることもありますが、いずれも同系統の屋根材を指す呼称です。
屋根材自体の耐用年数は約25〜30年とされますが、表面の塗膜は紫外線や雨風で徐々に劣化するため、おおむね築7〜10年ごとに塗装メンテナンスを行うのが一般的です。塗膜の劣化を放置すると、屋根材が水分を吸い込み、ひび割れ・反り・雨漏りといった深刻な不具合へとつながります。
2. コロニアル屋根工事の3つの種類と選び方
コロニアル屋根の工事は、屋根の状態と築年数によって、おおまかに3種類の方法から選択します。それぞれの特徴を理解し、現在の屋根の状態に合った工法を選びましょう。
塗装工事
屋根材自体は健全で、表面塗膜の劣化が中心の場合に選択。塗り替えで防水性と美観を回復させる、最も一般的なメンテナンスです。
カバー工法
既存の屋根材を残したまま、その上から新しい屋根材を重ねて施工する工法。撤去工事が不要な分、葺き替えより費用と工期を抑えられます。
葺き替え工事
既存屋根材と防水シートをすべて撤去し、下地(野地板)から新しく作り直す工法。屋根全体が傷んでいる場合や雨漏りがある場合に選択します。
3. 塗装工事の流れ(全12工程)
塗装工事はコロニアル屋根メンテナンスの中で最も一般的な方法です。一般的な戸建住宅で工期は約10〜14日、天候によってさらに延びることがあります。ここでは標準的な12の工程を順番に解説します。
現地調査・点検
建物の周囲をぐるりと回り、屋根に上って状態を確認します。塗膜の劣化具合、ひび割れ、欠け、コケ・カビの発生、棟板金や谷板金の傷み、雨樋の不具合などを目視で点検し、必要に応じてドローンや高所カメラも使用します。所要時間は1〜2時間程度です。
お見積もり・ご契約
点検結果をもとに、必要な工事内容・使用塗料・工期・費用を明記した見積書が提示されます。内容に納得したうえで契約を交わします。複数社から相見積もりを取り、内容を比較検討することをおすすめします。
近隣挨拶
工事開始の1〜3日前を目安に、近隣のお宅へご挨拶に伺います。高圧洗浄の音や塗料のにおい、足場の組み立て音などでご迷惑をおかけする可能性があるため、事前のご挨拶は重要です。工事範囲・期間・連絡先を記したパンフレットを配布するのが一般的です。
足場設置・養生
作業員の安全確保と作業効率向上のため、建物の周囲に足場を組み立てます。同時に、塗料の飛散防止用のメッシュシートを張り、窓・植栽・エアコン室外機などをビニールで養生します。所要時間は半日〜1日が目安です。
高圧洗浄
専用の高圧洗浄機を使い、屋根表面の汚れ・コケ・古い塗膜の浮きを徹底的に洗い流します。塗料の密着性を確保するうえで非常に重要な工程です。洗浄後は屋根材を十分に乾燥させる必要があり、次の工程までに1〜2日空けることが一般的です。
下地補修
ひび割れ・欠け・浮き、棟板金の釘抜けや錆びなどを補修します。必要に応じてシーリング材や差し替え用屋根材を使い、塗装ができる状態に整えていきます。下地補修を丁寧に行うことが、塗装の仕上がりと耐久性を大きく左右します。
縁切り(タスペーサー設置)
コロニアル屋根特有の重要工程です。屋根材どうしの隙間が塗料で塞がってしまうと、内部に侵入した雨水が排出されず、雨漏りの原因となります。これを防ぐため、屋根材の隙間に「タスペーサー」と呼ばれる縁切り部材を差し込み、排水経路を確保します。縁切りを省略する業者は要注意です。
下塗り
塗料を密着させるための専用シーラー(または下塗り材)を塗布します。下塗りは仕上げ塗料と屋根材を接着させる接着剤のような役割を果たし、塗装全体の耐久性を決める重要な工程です。劣化が激しい場合は、吸い込みが止まるまで2回塗ることもあります。
中塗り
仕上げ塗料の1回目を塗布します。シリコン・ラジカル・フッ素・無機など、選定した塗料の特性に応じて塗膜を形成していきます。中塗りで適切な塗膜厚を確保することで、上塗りの仕上がりが安定します。
上塗り
仕上げ塗料の2回目を塗布し、規定の塗膜厚を確保します。中塗りと上塗りは同じ塗料を使用するのが基本で、塗りムラやかすれを防ぎ、均一で美しい仕上がりにすることが目的です。
完了検査・お客様立ち会い確認
塗り残しや養生忘れ、施工不良がないかを職人と現場監督が点検し、お客様にも立ち会い確認をお願いします。気になる箇所があればこの段階で必ずご指摘ください。足場解体後の手直しは大掛かりになるため、ここでの確認が重要です。
足場解体・清掃・お引き渡し
養生を撤去し、足場を解体します。建物周辺を清掃し、保証書や施工写真などをお渡しして、すべての工程が完了となります。施工後の定期点検サービスの有無や、保証期間内のトラブル対応についても確認しておきましょう。
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4. カバー工法の流れ
カバー工法は既存の屋根を撤去せず、その上から新しい屋根材をかぶせる工法です。撤去・廃材処分が不要な分、葺き替えより費用と工期を抑えられるのが大きなメリットです。新規屋根材としては軽量なガルバリウム鋼板が主流で、建物への重量負担を抑えながら耐久性を高めることができます。
- 現地調査・お見積もり
- 近隣挨拶・足場設置
- 既存屋根の清掃・棟板金などの撤去
- 防水ルーフィング(改質アスファルトルーフィングなど)の敷設
- 新規屋根材(ガルバリウム鋼板など)の施工
- 棟板金の取り付け
- 完了検査・足場解体・お引き渡し
工期は約7〜10日が目安です。なお、カバー工法は既存屋根の野地板や下地が健全である場合に選択できる工法です。雨漏りがすでに発生していたり、下地が腐食している場合は葺き替えが必要となります。事前の現地調査で下地の状態を必ず確認してもらいましょう。
5. 葺き替え工事の流れ
葺き替えは既存の屋根材と防水シートをすべて撤去し、下地(野地板)から新しく作り直す工法です。築年数が経って屋根全体が傷んでいる場合や、雨漏りで野地板まで損傷している場合に選択します。屋根の状態を根本から改善できる反面、撤去・廃材処分の費用が発生するため、3工法の中では最も費用がかかります。
- 現地調査・お見積もり
- 近隣挨拶・足場設置
- 既存屋根材・ルーフィングの撤去
- 野地板の点検・必要に応じた補修や増し張り
- 新規ルーフィングの敷設
- 新規屋根材の施工(軽量金属屋根が主流)
- 棟板金などの取り付け
- 完了検査・足場解体・廃材処分・お引き渡し
2004年以前に施工されたコロニアル屋根には、製品によっては石綿(アスベスト)を含むものがあります。葺き替えの際は法令に基づく適切な処理が必要となり、撤去・処分費用が通常より高くなる場合があります。築年数が古いお住まいの方は、事前に業者へ確認しておきましょう。
葺き替え工事の工期は約10〜14日が目安です。野地板の補修範囲が広い場合や、屋根形状が複雑な場合はさらに延びることがあります。
6. 工期と費用の目安
工事種類ごとの工期・費用相場・推奨タイミングを比較表としてまとめました。なお、費用は屋根面積・形状・既存屋根の状態・選定する塗料や屋根材・地域・足場の難易度などによって変動するため、あくまで一般的な目安としてご参照ください。
※上記は一般的な戸建住宅における目安です。屋根の形状や面積、補修範囲、選定する材料グレードによって金額は大きく変動します。正確な金額は現地調査後のお見積もりでご確認ください。
7. 工事中の注意点と事前準備
屋根工事中は普段の生活にいくつかの変化が生じます。事前に把握しておくことで、トラブルを未然に防ぎ、スムーズな工事進行に協力できます。
- 高圧洗浄や塗装期間中は、窓を閉め切る時間が増えます。換気のタイミングは職人と相談してください。
- 塗料のにおいは水性塗料であれば比較的少ないものの、敏感な方は事前に業者へ相談しておくと安心です。
- 洗濯物は屋外に干せない期間があります。室内干しや乾燥機の活用をご検討ください。
- 駐車場所の確保が必要です。職人の道具置き場や塗料置き場として、敷地内を一時的にお借りすることがあります。
- 工事中の不在時の連絡方法、緊急時の対応について、事前に書面で確認しておくと安心です。
- ペットがいるご家庭は、足場組立中・撤去中の音が大きいため、心配な場合は一時的な預け先の検討をおすすめします。
- 植栽やガーデン用品は、養生がしやすいよう事前に移動できるものは移動しておくと安心です。
8. 失敗しない業者選びのポイント
屋根工事は完成後に施工品質を目視確認することが難しい工事です。そのため、業者選びが工事の成否を大きく左右します。以下のポイントを必ず確認しましょう。
自社施工の業者は中間マージンが発生せず、責任の所在も明確です。
建設業許可、雇用保険、労災保険などへの加入を確認しましょう。
屋根診断士、塗装技能士など専門資格者が在籍しているか確認します。
「一式」表記が多い見積書は要注意。工程ごとの内訳が明確であるべきです。
塗料・屋根材のメーカー名、グレード、数量が明記されているかを確認。
工事保証とアフター点検の内容が書面で交付されることを確認しましょう。
過去の施工事例を写真や所在地情報とともに具体的に提示できる業者を選びましょう。
「今日契約すれば割引」と急がせる訪問販売には十分注意してください。
9. よくある質問
屋根工事は外部作業が中心のため、ご在宅のまま工事を進められるケースがほとんどです。ただし、塗料のにおいや作業音が気になる場合は、日中外出されるお客様もいらっしゃいます。
高圧洗浄以外の工程は、雨天では作業できません。安全確保と仕上がり品質を最優先するため、工事は順延され、その分工期が延びる可能性があります。
台風や強風、雹(ひょう)などの自然災害が原因で屋根に損傷が生じた場合、火災保険の対象となる可能性があります。被害状況を確認し、契約している保険会社へ申請する必要があります。経年劣化が原因の場合は対象外です。
一概には言えません。築年数が浅く塗膜の劣化のみであれば塗装が経済的ですが、下地まで劣化している場合は塗装をしてもすぐに不具合が再発するため、結果的に葺き替えのほうがトータルコストを抑えられるケースもあります。専門業者の診断を受けたうえで判断しましょう。
屋根と外壁を同時に施工すると、足場費用を一度で済ませられるため、別々に行うよりトータル費用を抑えられるのが一般的です。次回のメンテナンス時期が近い場合は、同時施工を検討する価値があります。
10. まとめ
コロニアル屋根の工事には、塗装・カバー工法・葺き替えの3種類があり、屋根の状態と築年数によって最適な工事方法が異なります。塗装工事は約10〜14日、カバー工法は約7〜10日、葺き替えは約10〜14日が一般的な工期目安です。
どの工事を選ぶ場合でも、まずは信頼できる業者による現地調査と診断を受けることが大切です。複数社から見積もりを取り、施工内容・使用材料・保証内容を比較したうえで、納得のいく契約を結びましょう。
適切なタイミングでの屋根メンテナンスは、建物全体の寿命を延ばし、雨漏りや構造体の劣化といった大きなトラブルを未然に防ぐことにつながります。コロニアル屋根は塗膜の劣化が外観に現れにくいため、築年数を目安に定期的な点検を依頼することをおすすめします。
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